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版画|prints

 作品は日常の中で派生又は消失する自然の情景や社会現象を起因とする感情を重ね合わせることで原初的なイメージが形成されて行ます。そして情景や感情は色・形・線として置きかわり、紙上でパズルのように組み合わさって擬人的な形象や社会事象を内包したイリュージョンナルな図象として生まれる。

 近年の作品〈Lost shapeシリーズ〉は、怒り、悲しみ、苛立ちなど可視化出来ない感情を無機質な銅板面に痕跡とし刻み、ある心象風景や隠喩的な情景として不可思議な造形作品にしている。それは虚構と現実とに挟まれた狭間(間の美)を追い求めているのかもしれない。

 私の制作手法は、一般的な銅版画技法であるエッチングやアクアチント技法を主に使って色彩銅版画を制作している。これらの技法は特殊ではないが、ただ紙に印刷されてた時の色彩については極力色の透明感、発色の美しさ、深く静謐な色合いなどが出るように製版(版作り)方法や印刷方法に工夫を凝らしている。また金紙・銀紙の上に写真を転写し、その紙片を台紙にコラージュすることで異質な質感や装飾性が加味され、通常の印刷方法では表現出来ない鈍く輝く硬質な色面とマチエールを創り出している。

手漉き和紙は、私自身が紙漉場で漉いた紙で、表側はパルプで裏側は三椏又は楮の繊維で出来ている。また和紙の中に絵の一部として透かしを入れ、その上に染めた繊維を流し込んで漉いてあります。これらの作品は和紙の持つ風合い、透かしの微妙な陰影、染めた繊維が作る偶然な形と濃淡、そしてプレスされた銅版の跡と図象が共鳴しあって一つの世界を創出させている。

1972-1976
1977-1990
1991-2000
2001-2010
2011-2020
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